なぜ笑いが起きるのかを紐解く事は、なぜ感動が生まれるのか、という事を紐解くのと同じです。笑いのメカニズムを理解すれば、商品開発や、YouTuberとして動画を投稿していくためのヒントを見出せます。物作りをする多くの人に転用できる考え方です。
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目次
笑いの構造
芸人さんが、笑いを生み出すためにやってる行為には3つの工程があります。その3つは以下の通りです。これは漫才でもコントでもトークでも同様に行われている事です。
笑いのメカニズム
1:ネタフリ
2:ボケる
3:ツッコム
では、これらについて詳しく解説していきます。
ネタフリ
ネタフリというのは、分かり易く言うと、話を聞く人に、何かを想像させることです。その他にも、ネタフリには、色々な役割があります。例えば、誰と誰が何処で何をしていたか、といった状況説明をした後に「そこで驚きの一言がありました。その一言がこちらです!」これもネタフリです。
要するに、話をする人に対して、前置き段階として整えておく、という行為と言えます。そう考えると、笑いにおけるネタフリというのは、ボケる人が、お客さんの想像を裏切りやすいように、適切なフリで整えておく、という事になります。
ボケ
ボケるというのは、ネタフリの想像を超えるという行為です。ボケについては、この後の項目で画像付きで詳しく解説しています。
ツッコミ
ツッコミというのは、裏切った行為を訂正する行為です。海外に、ツッコミという文化がありません。これは笑いを生み出すための日本特有のスキルだと思います。的確に状況分析して、面白い事を際立たせる特殊なスキルです。
これがあるかないかで笑いの量が大きく変わります。漫才やコントが、3分ぐらいの短い時間でも爆笑が起きているのは、的確におかしい場所を伝える行為であるツッコミがあるからとも言えます。
例えば、コメディ映画を見ていたとします。人によって笑うところが違うという場合があります。でも、ツッコミがあれば、ここがおかしいとこですよ!笑うとこですよ!という事をツッコミのプロが適切な言葉で何がおかしいのか提示してくれます。
じゃコメディ映画にも、ツッコム人と登場させればいいじゃないか、という発想になりそうですが、ドラマや映画に、ただツッコムだけの人が存在するのは不自然です。
お客さんの頭の中に、不自然な違和感が生まれた時点で笑えなくなります。ツッコミがあれば、もっと笑えたのになぁというシーンもありますが、お芝居として不自然ならない方がいいです。
役柄として、解説する人が、その場所にいてもおかしくない構造ができれば、ツッコミが存在しているのと同じです。この構図を取り入れているのが吉本新喜劇です。世界で1番笑いを取る劇団です。これほど笑いに特化して、お客様に感動を与えている劇団は他にありません。
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笑いの構造は全ての物作りに通じる
笑いのメカニズムは、言うなれば、人の気持ちを動かすメカニズムでもあります。これは全ての物作りに通じると言えます。一般企業が作り出す商品もそうですし、YouTuberが投稿する動画においても同じです。笑いのメカニズムは以下のように言い換えられます。
人の心を動かすメカニズム
1:キャッチコピー
2:商品(動画や料理など)
3:口コミ
では、これらについて詳しく解説していきます。
キャッチコピー
ネタフリの部分に当たるのが、キャッチコピーになります。商品のキャッチコピーでお客さんを想像させます。例えば、以下のような餃子のキャッチコピーを考えてみました。食べてみたくならないでしょうか?
キャッチコピー
小粒でも大きいインパクト!うまみ爆発餃子
これでお客さんが想像するのは、小ぶりの餃子です。そして噛んだ瞬間にうまみが伝わってくるイメージです。食べ物に関しては裏切る必要はありません。想像通りか、想像を少し、越えればいいと思います。
商品
ボケに当たるのが、商品です。実際に餃子を食べてみたとしましょう。噛んだ瞬間に肉汁が飛び出したら、ちょっと嬉しい驚きになると思います。うまみ爆発の正体は、肉のうまみを吸い込んだ肉汁が爆発するという意味だったというキャッチコピーです。
このちょっとの嬉しい驚きこそが感動の正体です。こうなるとお客んはリピーターとして戻ってきてくれるでしょう。そして感動は、バイラルしてSNSでシェアされて、瞬く間に人から人へ伝わっていくでしょう。
口コミ
ツッコミに当たるのが口コミです。的確に状況を伝えて言葉として発信するという意味合いでは同じです。あなたが口に入れた商品や手にした商品、もしくは目にした動画などは、誰かの基準で判断されます。
いいキャッチコピーと、それに相応しい商品があれば、自然と口コミは良くなっていきます。どこかに嘘や手抜きがあれば、それは消費者に見抜かれてしまいます。
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ボケを作るとはどういう事か?
ネタフリ、ボケる、ツッコムの3つの工程で、1番、力をいけないのがボケです。企業でいうなら商品です。まずは商品ありきです。全てはそこから始まります。商品がないのに、キャッチコピーも口コミも存在しません。
では、ボケるとは、どういう事なのか具体的に解説していきます。
大勢の人が想像した事を逸脱する行為
ボケるというのは、ネタフリによって、大勢の人が何かを想像します。その想像を逸脱する行為です。
例えば、ネタフリで以下のような綺麗な青い丸を想像させたとします。
そして、そのネタフリを逸脱して以下のような形を発表します。これがボケになります。
これに対して「何かハミ出てる!」とツッコメばいいわけです。
もしくは、以下のように違う形で逸脱することもできます。
これに対して「ちっちゃ!」とツッコメばいいわけです。
常識から逸脱した非常識な行為
ネタフリが必要じゃない時もあります。それは、世の中の人の頭の中に、すでに刷り込まれているイメージがある場合です。その場合は、わざわざネタフリをしなくても、既にあるイメージから逸脱すればいいだけです。
例えば以下の画像です。常識を逸脱した非常識な事が起きています。中国にあるお店の画像です。日本人なら一目瞭然でユニクロの看板の偽物だと分かります。
これに対して「ユニクロのパクリやん!」とツッコメば、ほぼ全ての人に伝わります。
同様に以下の写真の中でも、ネタフリがなくても常識を逸脱した非常識な事が起きています。
これに対して「味噌汁ちゃうやん!」とツッコメば伝わります。
同様に以下の写真の中でも、ネタフリがなくても常識を逸脱した非常識な事が起きています。
これに対して「後ろに左折禁止って書いてるやん!どうやったら行けんねん!」とツッコメば伝わります。
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まとめ
笑いのメカニズムを分かっていれば、人の感情を操作できると言っても過言ではありません。この仕組みを生かして、物作りに取り組めば、きっと良いものが出来上がるはずです。是非、参考にされてみてください。